☆武勇伝外伝〜猛烈なばあさん?〜☆






5年前の事である





市場で魚を買いに来るお客さんの中に
70歳ぐらいの老夫婦がいた
そのくらい年になると
見た感じおじいちゃんとおばあちゃんって
落ち着いた感じなんだが
この二人は違う
この老夫婦は言うなれば





おじいちゃんと
猛烈ばあさん





という感じだ
この二人の性格は対照的で
おじいちゃんの方はみた感じは弱々しく
いつでも腰が低く
やたら「すんません・・・すんません・・・」
と謝る人であるが





ばあさんの方は
いつもタバコを吸いながら店にやって来て
魚を買うのにもいろいろ進められても
聞く耳ももたず
買いたい物を買う強情な性格で
車もばあさんが運転して
おじいちゃんをパシリによく使う
それからもちろんおじいちゃんが魚を選んでいる所なんて
見たことがない
というかパシリなんで店にはあんまり来ない





そのおじいちゃんは
性格も弱々しい人で
うちの店にバラン(弁当なんかに入れる緑の人工的な草みたいな物)
をもらいに来た時も
あんなものは店にいくらでもあるので
いつでもあげるのだが
おじいちゃんは店に来るなり
「すみませんバランを一枚もらえませんか・・・・・?」
とものすごく申し訳なさそうに言ってくる
そして一枚あげると
「おおきに!ありがとう!ありがとう!」
とめっちゃ感謝してくるのである
その時は僕は





いや一枚ぐらいで喜びすきやで〜





と思うのと





またばあさんのパシリで使わされてるのやな〜





て思うのである





一方ばあさんは
僕には優しいのだが
おじちゃんには厳しく
おじいちゃんがちょっとでもパシリに出かけて
遅くなると
「あんたどこいってるんや!!!」
って怒鳴りつけ
その度に僕に
「ほんま役に立たへん奴やろ・・」
と愚痴をこぼすのである





この二人を関係を見ていると
「名字はばあさんの方の名字じゃね〜の?」
って思ったりするのと
おじいちゃんは
「なんでこんなばあさんと結婚したんやろ〜」
と思ったりする
昔は結婚式まで顔も知らない人と結婚していたというから
どんな人かわからんかったんやろね





そんな対照的な二人で
おじいちゃんが
よく怒られているのが
日常的な光景だったのだが





3年前のある日





そのおじいちゃんが





亡くなったのである





なんで死んだのか詳しく知らないのだが
僕が最近おじいちゃん見ないなあ
と思っていたら死んでいたのである





そして一人残されたばあさん





寂しがるかなと思いきや





いつもと全く表情も変わらず魚を買いに来てるのである
というかおじいちゃんがいなくなったので
息子をおじいちゃんの変わりに連れてきてるのである





おじいちゃんの変わりかな?





と僕は思ったのだが
おじいちゃんの時とは全然違う
変わりは変わりなのだが
息子にはとても優しく
店に来る時も帰る時も常に一緒に来て
決して怒鳴ったりしない
むしろやさしい感じでしゃべっている





この光景を見ると





おじいちゃんおらんでも関係ないな〜
むしろおらん方が良かったのか??





と思ったりもする
おじいちゃんが死んでもこんな感じなんで





「さすがこのばあさんは、心の強いばあさんやな〜、おじいちゃん死んでも関係なしやな」





と思っていたのだが





その1年後のある日





ばあさんが店で
なにやらじっーと
携帯の画面を見てたので
その後ろにいた僕は
ちょっと気になったので
それをのぞいてみると
なんとそこには





待ち受けの画像に







の「おじいちゃん」が映っていたのである







・・・・・・えっ!?





それ見た僕は
ばあさんはおじいちゃんの事を何にも思ってないと思いきや
内心ではおじいちゃんの事を
その画面を観ていつでも思い出していた事を悟った





なんだかんだいっても
猛烈なばあさんもおじいちゃんを愛していたんやね〜





そして今現在二人とも死んでしまってここにはいない
二人共はあの世に逝ってしまった



でもあの世に逝っても
ばあさんはおじいちゃんに
そんな心の弱い所なんか見せずに
いつもと同じ感じで怒鳴ってるんでしょうね





らしくない文を書いてしまったので
これは外伝という事で・・・・

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